「女装文化の多様性をもっと多くの人に伝えたい。」

その思いを胸に、涼たちは「ラビリンス・コンパス」の次なる企画に乗り出した。それは「トランス・リフレクション」というタイトルの全国巡回イベントだった。女装サロンだけでなく、関連するアーティストやデザイナー、カウンセラーたちも参加し、女装文化を包括的に紹介する内容だ。

「私たちが目指すのは、単なるエンターテインメントじゃなくて、個々の多様性を尊重し、受け入れるための架け橋を作ること。」涼はスタッフミーティングでそう語った。

「それって、具体的にはどういう形になるの?」奏が興味津々で尋ねる。

「各地で開催するイベントごとに、その土地ならではの女装文化を取り入れる。そして、地元のサロンや参加者と交流しながら、その魅力を発信していくんだ。」

「面白そう!」葵が目を輝かせた。「でも、それってすごく大変そうだよね。」

「だからこそ、やりがいがある。」涼は決意に満ちた表情で言った。「そして、私たちが信じていることをもっと広められるチャンスだと思う。」