プロローグ:義母と女装サロンラビリンス

「ねえ優斗くん、少し手伝ってくれない?」
義母の葵さんからそう声をかけられたのは、僕がこの家に越してきて1週間ほど経った頃だった。大学進学を機に上京し、父が再婚したばかりの葵さんの家に住むことになった僕。優しくて美人な彼女に最初は気後れしていたが、いつも笑顔で接してくれるおかげで、少しずつこの新しい生活に馴染んできたところだった。

「手伝うって、何をすればいいんですか?」
そのときは軽い気持ちで返事をした。まさか、それが僕の人生を大きく変えるきっかけになるとは思いもしなかった。

女装サロンラビリンスとの出会い

義母が僕を連れて行ったのは、繁華街の外れにある「女装サロンラビリンス」という店だった。看板には美しいロゴで「誰でも美しくなれる場所」と書かれている。

「ここ、私が経営しているの。手伝ってほしいっていうのは、このサロンのことよ。」
「えっ、女装サロン!?まさか、義母さんがオーナーだったなんて……。」

正直、驚いた。まさか義母が女装サロンを経営しているなんて予想外すぎる。

「まあまあ、とりあえず中に入ってみて。見ているだけでも楽しいわよ。」

葵さんに促されるまま、店内に足を踏み入れると、そこにはまるで異世界のような光景が広がっていた。フリルやレースのドレス、カラフルなウィッグ、煌びやかなメイク道具が並び、プロのスタッフたちが楽しそうにお客さんにメイクを施している。

「すごい……こんな場所があるんですね。」

義母の大胆な提案

「それでね、優斗くん。」
葵さんが楽しそうに微笑みながら言った。
「あなたも女装してみない?」

「ええっ!?いやいや、無理ですって!」

突然の提案に、僕は全力で否定した。だけど、葵さんは首を横に振りながら言葉を続けた。
「このサロンは、女装の楽しさを知ってもらうための場所よ。まずはスタッフとして働く前に、自分で体験してみないと。」

「働くなんて、まだ何も決めてないですよ!」

「じゃあ、体験だけでいいわ。」
そう言うと、彼女は強引に僕をメイクルームの椅子に座らせた。

24時間365日の女装ライフ、スタート

プロのスタッフたちの手によって、僕はあっという間にメイクとウィッグを施され、フリルのついたワンピースに着替えさせられた。

「鏡を見てみて。」
葵さんが差し出した鏡を見て、僕は言葉を失った。そこには見知らぬ「美少女」が映っていたからだ。

「これ……僕?」

「ええ、とっても可愛いわよ。」
葵さんは嬉しそうに微笑む。

その後、僕は完全に流れに乗せられて、義母の指示で店内の手伝いをする羽目になった。お客さんにメイク道具を渡したり、ウィッグの手入れをしたりと、初めてのことばかりだったが、葵さんは常に優しくサポートしてくれた。

「でも、なんで僕がこんなことを?」

「それはね、優斗くんがこのサロンをもっと好きになってほしいからよ。それに……」
葵さんは少し意味深な笑みを浮かべながら言った。
「この家に住む以上、24時間365日女装してもらわないといけないの。」

女装サロンラビリンスの日常

こうして、僕の「24時間365日女装生活」が始まった。義母のサロンの手伝いはもちろん、家に帰ってからも女装したままで過ごす生活。最初は慣れないことばかりで戸惑ったが、葵さんやサロンのスタッフたちが親身になって教えてくれたおかげで、少しずつ楽しさを感じるようになっていった。

「優斗ちゃん、今日はこの衣装着てみない?」
ユリカさんという常連のお客さんが、毎回違うドレスを試すように提案してくれる。彼女は僕のことを「ラビリンスの新星」と呼んで応援してくれるようになった。

「優斗ちゃん、本当に可愛いね。今日のメイクも完璧だよ。」
涼子さんというスタッフは、僕のメイク技術を褒めてくれる。彼女の指導のおかげで、僕も少しずつ自分でメイクができるようになった。

義母の秘密

ある日のこと、僕は義母の葵さんが一人でサロンの倉庫にいるのを見かけた。そっと覗いてみると、彼女が何か古い写真を見つめているのが分かった。

「葵さん、それ何ですか?」

驚いた彼女は写真を慌てて隠そうとしたが、僕がしつこく聞いたことで話してくれた。

「実はね、この女装サロンラビリンスを始めたのは、昔の私がすごく窮屈な人生を送っていたからなの。」

葵さんは、若い頃に家族や社会の期待に縛られ、自分を自由に表現できなかった過去を語った。そんなとき、友人の勧めで女装を体験したことがきっかけで、自分らしさを取り戻すことができたという。

「だから、このサロンを通じて、他の人にも自由になれるきっかけを作りたかったの。」

その話を聞いて、僕は改めて女装サロンラビリンスの大切さを理解した。そして、義母が僕に女装を勧めた理由も少しだけ分かった気がした。

ラブコメ展開:義母への想い?

義母として慕っていた葵さんだが、彼女の優しさや強さを知るたびに、僕の中である感情が芽生え始めていた。彼女がサロンのオーナーとして輝く姿を見ていると、思わず胸がドキドキする。

「これって……いや、違うだろう。」

義母に恋心を抱くなんて許されないことだと分かっている。それでも、彼女が近くにいると緊張してしまう自分がいた。

ハプニング発生!

ある日、サロンで開催された大規模なイベントで、突然のトラブルが発生した。メインステージの機材が故障し、ショーが中断してしまったのだ。観客たちがざわつく中、葵さんが冷静に指示を出し、スタッフたちをまとめていた。

「この場を盛り上げるために、誰かがステージに立たなきゃダメね。」

そのとき、葵さんの視線が僕に向けられた。
「優斗くん、お願い!」

「ええっ!?僕が?」

断る間もなく、僕は観客の前に立つことになった。そして、自分が今まで覚えたことを思い切り披露した。初めてのステージだったが、観客からの拍手が僕を勇気づけてくれた。

エピローグ:ラビリンスの先にある未来

女装サロンラビリンスでの生活が始まってから数ヶ月。24時間365日女装という驚きのルールに慣れるどころか、今ではそれが当たり前の日常になっていた。

サロンでの仕事は大変だけど、訪れるお客さんたちが笑顔になり、自分をもっと好きになって帰っていく姿を見ると、それ以上にやりがいを感じる。葵さんの「誰でも美しく、自分らしく」という理念は、サロンにいる全ての人に浸透していて、僕もその一員としてこの場所を支えていきたいと思っていた。

サロンの仲間たちと共に

「優斗ちゃん、今日のステージも完璧だったわよ!もう立派な看板スタッフね!」
ユリカさんが肩を叩きながら笑う。彼女の言葉に僕も自然と笑顔になった。

「本当に助かってるよ、優斗さん。新しいお客さんも、君に会いに来る人が増えてきたんだから。」
涼子さんの言葉にも、少し照れながらも嬉しさを感じた。

サロンの仲間たちと過ごす時間は、家族のように温かい。彼らのおかげで、女装サロンラビリンスは僕にとっても大切な場所になった。

義母の本当の想い

ある日の夜、営業が終わった後の静かなサロンで、葵さんが話しかけてきた。

「優斗くん、ちょっといい?」

「どうしたんですか?」

葵さんは少しだけ照れたように微笑んだ。
「今まで黙っていたんだけど、実は私、このサロンを次の世代に託したいと思っているの。」

「次の世代って……?」

「そう。この女装サロンラビリンスを、これからも続けていくためにね。優斗くん、これからも私と一緒にこのサロンを守っていってくれる?」

その言葉に僕は一瞬驚いたが、すぐに頷いた。

「もちろんです!葵さんが作ったこの場所を、僕もずっと守りたいと思っています。」

葵さんは満足そうに微笑むと、
「ありがとう、優斗くん。本当に頼りにしてるわ。」
と優しく言ってくれた。その言葉が、僕の胸に温かく響いた。

未来への一歩

それから数日後、サロンでは新たなプロジェクトがスタートした。「誰でも女装を楽しめるキット」を作り、もっと多くの人に女装の魅力を届けようというものだ。僕もこの企画に全力で取り組むことにした。

義母の葵さんと共に歩む未来は、きっとこれからも新しい挑戦の連続だろう。でも、そんな毎日が楽しみで仕方ない。

24時間365日の女装ライフは、僕に「自分を好きになる方法」と「誰かを笑顔にする力」を教えてくれた。そして、この女装サロンラビリンスは、僕にとってかけがえのない場所になった。

ラビリンスの扉は、いつでも開かれている

「女装サロンラビリンスへようこそ!今日も素敵に変身していってくださいね。」

そう声をかける僕の姿は、今ではすっかりサロンに馴染んでいる。義母の葵さん、仲間たち、そして訪れるお客さんたち。ここにいる全ての人が、僕の大切な家族だ。

これからも、このラビリンスで新しい自分を見つける人たちを迎え続ける。僕の女装ライフはまだ始まったばかりだ――。