6,慶次と兼続の事情シリーズ①『親友の秘密』
まず、手にしているのが、先ほどまで兼続が持っていたトートバッグ。いささか、膨らみが小さくなった気がする。
そして、身長。5cm程のヒールを履いているからだろうか、兼続よりもその分、高く感じる。身体の線に対して、肩幅がややあるような気もする。さらには、歩き方。ヒールにあまり慣れていないのか、少し歩きづらそうにしているのだが、身体の揺れ方や腕の振り方の癖が、とても良く知っている人にそっくり、いいや、同じなのだ。
(もしかすると、妹さんか?)
仮に姉や妹だったとしても、歩き方まで似るだろうか?
そもそも、兼続は一人っ子のはず。するとやはり、彼女なのだろうか。
慶次は、後ろ姿を見つめれば見つめるほど、どんどん混乱していくばかりだった。
だが、目を疑う出来事が起きたのだ!