女装サロンでの日々が続く中で、悠斗はメイクやファッションの知識を自然と学んでいった。美絵は相変わらず厳しく接してきたが、悠斗はその中にわずかな期待のようなものを感じ取ることができた。

「悠斗、今日は新人のお客さんのコーディネートを手伝ってもらうわ。どうせ暇なんでしょ?」

美絵の冷たい言葉に、悠斗は最初こそ反発したが、自分が与えられた役割に集中することで、次第に手応えを感じるようになった。

その日、悠斗は女装サロンを訪れた若い男性のコーディネートを担当した。ドレスを選び、メイクを施し、髪型を整えたその姿に、男性は驚きと喜びを隠せなかった。

「まさか、こんな自分がいるなんて…ありがとう!」

悠斗は初めて、自分の手で誰かを変える喜びを実感した。この日を境に、悠斗は女装サロンでの仕事をただの「義務」ではなく、自分のスキルを磨く機会と考えるようになった。