葵が女装サロンラビリンスを訪れるようになってから、涼と奏の間には新たな活気が生まれた。三人でドレスを選んだり、メイクの研究をしたりする中で、いつしか自然な友情が芽生えていった。
しかし、涼はふとした瞬間に自分の胸の内を振り返ることがあった。
(奏と特別な関係になったはずなのに、葵と一緒にいると、なぜか心がざわつく…。)
葵の真っ直ぐな瞳や、自分の内面と向き合おうとする姿勢に、涼は魅了されつつあったのだ。それに気づいた瞬間、涼は自分の気持ちに戸惑いを覚えた。
一方で、奏は涼と葵の距離が少しずつ縮まっていくのを感じながらも、それを口に出すことはなかった。ただ、二人が楽しそうに会話をしている姿を見て、心の奥でわずかな不安を感じていた。