エレガンス・ステージのオープンから1か月が過ぎた頃、ラビリンスにも明確な影響が出始めていた。常連客の一部が姿を見せなくなり、新規来店者の数も減少していた。
「やっぱりエレガンス・ステージの影響なのかな…?」葵が呟いた。
「そうかもしれない。でも、ここで焦って方向性を見失うわけにはいかないわ。」涼は力強く答えた。
そんな折、エレガンス・ステージが豪華なファッションショーイベントを企画しているというニュースが飛び込んできた。その名も「グラマラス・ナイト」。有名なモデルやインフルエンサーを招き、女装の華やかさを全面に押し出す一大イベントだ。
「麗香さん、本気で勝負を仕掛けてきたみたいね。」奏は冷静に状況を分析した。「でも、豪華さでは勝てなくても、私たちには私たちらしいやり方があるはず。」
涼はみんなを見渡しながら口を開いた。「私たちが目指しているのは、外見だけじゃない。それぞれが自分を見つけられる場所を提供すること。それをしっかり伝えるイベントを企画しよう。」