「あなた、今のままではつまらないわね。」

そう言い放ったのは、革のコルセットに身を包んだ沙羅様だった。

私は深夜のクラブで偶然沙羅様に出会い、その強烈なオーラに魅了されてしまった。彼女は堂々たるSMの女王様で、鞭を手にした姿がまるで異世界の支配者のようだった。

「あなたにはまだ隠れた可能性があるわ。それを引き出してあげるのが私の役目。」

彼女は私を見下ろしながら微笑み、低く、しかし強烈に響く声で命令した。

「女装サロンラビリンスに行きなさい。そして、女装を学ぶのよ。」

「女装…サロン?」

「そうよ。女装サロンラビリンス。そこは特別な場所。あなたが今まで知らなかった新しい自分を見つけられるわ。」

私、田辺涼は普通の会社員だ。なぜ突然こんな命令を受けることになったのか、未だに理解できない。ただ、その命令に逆らう勇気がなかったのは確かだ。

 

指定された住所に到着すると、そこには雑居ビルの一角に不思議な扉があった。金属製のプレートには「女装サロンラビリンス」と彫られており、扉の周りには紫色のライトが妖しく光を放っていた。

私は意を決して扉を押した。

「いらっしゃいませ。こちらは女装サロンラビリンスです。」

受付に立つのは美しい女性…かと思いきや、どこか中性的な雰囲気を漂わせたスタッフだった。彼の滑らかな動きと柔らかな声が場の緊張感を和らげる。

「今日は特別なプランでご案内します。沙羅様からの紹介と伺っています。」

その名前を聞いた途端、私は再びあの夜のことを思い出した。沙羅様の命令だ。逆らうことはできない。

案内された部屋は広く、鏡に囲まれた空間だった。壁には豪華なドレスやウィッグ、化粧品が整然と並び、そこがただのサロンではないことを物語っていた。

「こちらが女装サロンラビリンスの第一ステージです。まずは基本のメイクから始めましょう。」