仮面舞踏の間での経験を終えた後、私は控室で静かに仮面を外した。鏡に映る自分は、踊る前と何も変わらないように見える。しかし、内面では確実に何かが変わっていた。
「どうだった?仮面の力を感じた?」
沙羅様が現れ、私の隣に座った。
「はい。でも、仮面をつけている間、自分が本当に誰なのかがわからなくなりそうでした。」
「それでいいのよ。女装サロンラビリンスは迷宮なのだから。自分を見失うことも、時には必要なの。」
彼女の言葉には深い意味が込められているように感じた。私は沙羅様にもっと問いかけたかったが、彼女は立ち上がり、優雅にその場を去っていった。