女装サロンラビリンスには、さまざまな人々が訪れる。会社員、学生、アーティスト、さらには主婦まで。彼らに共通するのは、「ここでしか出会えない自分」を楽しむことだった。

常連のひとり、舞さんは言った。

「ここに来るとね、自分が解放されるの。外ではどうしても鎧を着なきゃいけないけど、ここではそれを脱ぎ捨てられるのよ。」

そんな彼女の言葉に触発されるように、僕も次第に「遊びの女装」に没頭していった。毎週末、異なる衣装を選び、異なる自分を演じる。それはまるで、無限の可能性を試す実験のようだった。

しかし、僕の変化はサロンの中だけにとどまらなかった。いつしか「遊び」が「日常」に侵食し始めていた。